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所長の戯言
2008年6月3日(火)
             
プレゼン力≠つけよう
西山 昭彦

 アメリカのように個人主義が徹底されている国では、小学生のうちから多くの人の前で発言する訓練をしている。ところが、日本では多くの人が話す訓練をされてきていないため、ビジネスでのプレゼンテーションでは資料を配って、それをつまらなさそうに読み上げている主催者がほとんどだ。
プレゼンテーションでは、まず誰に聞かせるのか、どういう性格の人たちに聞かせるのかを事前に調べておく。可能ならば、聞かせる人の趣味に例えて話すのがいい。車なら車、ゴルフならゴルフにたとえてわかりやすく話す。人は自分の趣味があることに少しでも触れていると、興味を持つし、理解も早いのだ。
 次に、その日のストーリーをどう構築するかということを考えておく。どういう手順で、どこに山場をもっていくかということを考えるのである。
 ストーリーには起承転結が必要だが、プレゼンテーションにおける起承転結は、問題提起→論理→事例→結論の順にするのが相手に伝わりやすい。
 たとえば、「私はこう考えます。なぜこのようなことが起こるのでしょうか?」→「私はこう考えます。理由はこうです」→「なぜならこういう事例があるからです」→「つまり、こうすることで、問題が解決できるというわけです」という具合に展開して、相手を退屈させないようにするのである。 
 ストーリー構成ができたら、次はいざプレゼンテーションである。プレゼンテーションが始まったら最初に何をするか。英語では「ブレーク・ジ・アイス」と言うのだが、聞いている人の心の氷を砕く。つまり、ギャグで緊張状態を説くわけだ。お笑い芸人のいうつかみ≠ナある。
 トップ営業マンが訪問販売に行くとする。どんなに家が汚くても「きれいなお宅ですね!」と褒めるのだという。すると相手は「なに言ってんの、こんな汚い家」と言う。そこで、「いや、さっきのお宅よりはきれいです」とやる。そこで相手は破顔一笑。これが氷砕きの例だ。
 そして、政治家などがよく指摘されるが、人前で話すときは極力、ペーパーは見ないこと。顔を上げて遠くを見るようにして、胸を張って堂々と話す。身振り手振りを加えるともっとよい。
 紙に書いていることを読むのではなく、紙に書いていることを補足するような内容を話すことだ。紙に書いていることは読めばわかることなので、あらためて口では言わないようにする。
 プロのプレゼンテーションを見ていると、時にハッとさせられるような驚きがある。たとえば、広告代理店の人のプレゼンテーションを見ていると、例え話を多く使ってわかりやすく話し、言葉も巧みだ。発想に意外性や楽しさがあり、少しの笑いも入れるようにしている。そして、指定された時間内に簡潔に収まるように工夫されているのである。ただペーパーを読み上げるプレゼンテーションとは雲泥の差だ。
 どうしてこのような差が出てくるのか。一つは、プレゼンテーション能力が人事考課の項目に入っている会社が少ないことだ。だから社内の会議であれば、内容がよければいいのだと思っているのである。そうして、プレゼンテーション能力を社内で磨いていないから、いざ取引先でプレゼンテーションをしようとして大騒ぎになる。
 ところが、広告代理店の場合は、プレゼンテーション自体が商売の成否を決める。それで何十億というお金が動くのだからみんな必死だ。競争原理が働いているから、必然的にプレゼンテーション能力が伸びていくというわけである。

 広告代理店でなくても、プレゼンテーション能力は必要である。上司へ企画を提出するときも、会議で賛同を得るときも、何をどのように伝えるか、実は日々、プレゼンテーションをしているのである。社外でのプレゼンテーションを成功させいようと思うなら、こうした社内の小さなプレゼンテーションの場で、いかに自分をアピールし、伝えたいことを理解してもらうか、飽きさせずに聞いてもらうかを常に意識しておくことだ。
 そして、社内外でプレゼンテーションのうまい人を見つけ、教えを請うたり、マネしてみることである。