2006年 8月 25日(金)           

派閥の効用@

西山 昭彦


 やりたい仕事が前例のない新しい仕事ならば、社内の横断型人脈ネットワークとしての派閥は絶対に必要です。同じ目的を目指す人たちを集めてつくってしまうべきです。

 組織論では、新しいことをやろうとすると必ず抵抗が起きることが実証されています。本業への投資を回収している途中で新たな投資が発生することは、本業に携わっている人々には好ましくありません。また、既存の縦割り組織は、新しい情報を受け入れる余裕がありません。新プロジェクトの成功には、従来とは異なる情報経路と縦割りでない関係=横割りの関係、すなわち新しい派閥が欠かせないのです。

 同一派閥内ではモノが頼みやすくなるため、業務がスピードアップします。また、業界内で一人勝ちしているような大企業や官公庁では、社内派閥があると「仮想敵」として各派閥間で競うようになります。組織は敵がいたほうが活性化します。霞が関の官庁のシェア拡大争いがいい例です。

 デメリットは、その派閥が政策で勝負するのではなく、例えば出身だけを根拠にするような固定的なものになったとき、あるいは派閥の利害を優先するような場合に発生します。健全な競争関係は生まれず、組織全体の利益を阻害してしまう派閥ならば解体すべきでしょう。それをやるのはトップの重大な仕事になります。

2006年 9月 1日(金)           

派閥の効用A

西山 昭彦


 若手社員の中には、「俺は派閥に入らない」と公言する人がいます。技術系には多いようです。そういう人はなかなか意思決定のインナーサークルには入れません。それでも構わないと言えるだけの能力、情報収集力、人脈、スピードがあれば話は別ですが。

 ハーバード・ビジネス・スクールのジョン・コッター教授は、「全米のできるマネジャーの共通項は、社内外の人的ネットワークを使って仕事をしていること」と言っています。自分よりもうまく処理できる人に任せたほうが生産性は上がる。仕事を人にやってもらうことがうまくできないと、大きな成果は挙げられない。このための人的ネットワークが派閥です。

 特に若手社員の中には、派閥のメリットについて誤解している人が多いようです。派閥というものは、Aグループ、Bグループと、はっきりと分かれているものではありません。一人で二重三重に非明示的に関わっているものです。

 また、派閥というものは、ある日突然勧誘が来るというものでも、いつか必ず声がかかるというものでもありません(無能であれば一生、声はかかりません)。多くは、あるプロジェクトのOB会や、人望ある支店長に率いられていた支店仲間といったものがきっかけになります。こればかりはサラリーマン人生の巡り合わせです。実は派閥というものは、選んで参加することが本質的にできないものなのです。

 人は、自分が知っている人を評価したがります。あなたが、希望の部署に行きたいとき、(候補者の能力が同じとして)そこの部長が知っていれば、その分優位になります。横方向ネットワークとしての派閥は、若いうちは積極的に参加したほうが得になります。できるだけ多くの人脈をつくることは、将来必ず生きてくるのです。